【ダイダラボッチ】

【ダイダラボッチ】
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ダイダラボッチは、日本の各地で伝承される伝説の巨人。日本各地にはダイダラボッチという巨人伝説が存在するが、東日本と西日本では異なるダイダラボッチ伝説となっている。
東日本では、主に関東一円を中心に『常陸国風土記』に登場する「ダイタボウ」を主にダイダラボッチと呼び、近畿地方では三重県、奈良県、和歌山県に跨る伝説中に登場する踏鞴法師をダイダラボッチと呼んでいる。 また、四国地方にも関東同様の伝説が伝わっている。

目次 [非表示]
1 出雲地方のダイダラボッチ
2 常陸の国風土記に登場するダイダラボッチ
3 近畿地方のダイダラボッチ
4 タタラ製鉄
5 関連項目



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出雲地方のダイダラボッチ
山陰地方の特に安来市・米子市を中心とする雲伯(出雲と伯耆)国堺地帯は古代より踏鞴(たたら)製鉄が盛んであったため踏鞴法師(ダイダラボッチ)はこの地に伝わる巨人神の神話が全国に拡散したと見る説がある。出雲国風土記では小国を集めて出雲国を形成したいわゆる国引き神話が登場するが小国を綱で引き寄せた巨人神、八束水臣津野命がその原型であるといわれている。この神が国引きを終了したとき「おう」(=意宇)といったのでこの地方は意宇地方と呼ばれ、原出雲王国の中心地であったとされ、スサノオやオオクニヌシの活躍地とも知られ、天叢雲剣の出所地でもあったともされている。


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常陸の国風土記に登場するダイダラボッチ
主に山や沼を作ったとされる。

別名に、でいだらぼっち、だいらんぼう、でいらんぼう、だいらぼう、だだぼう等。常陸の国風土記にはダイタボウ。
土地によって伝承される内容が異なり、作ったとされる山や沼も異なる。
関東甲信付近の大きな火山にまつわる伝承が比較的多い。
富士山を作るため、甲州の土をとって土盛りした。そのため甲州は盆地になった。

◎上州の榛名富士を土盛りして作った。掘った後は榛名湖となった。榛名富士が富士山より低いのは、もう少し土を運ぼうとしたが夜が明け、途中でやめたためである。

榛名山に腰掛けて、利根川で脛を洗った。(ふんどしを洗ったという説もある。)
上州の赤城山に腰掛けて踏ん張ったときに窪んで出来た足跡が水たまりになった。木部の赤沼がそれである。

◎浅間山が、自分より背の高い妹の富士山に嫉妬し、土を自分にわけろといった。富士山は了解し、だいだらぼっちが自分の前掛けで土を運んだ。しかし浅間山は土の量が足りないと怒り、彼を叩いた。その際にこぼれた土が前掛山となった。怒りだした浅間山はついに噴火してしまった。

◎遠州の山奥に住んでいた巨人ダイダラボッチが、子どもたちを手にのせて歩いている時に、腰くらいの高さの山をまたいだ拍子に子どもたちを手から投げ出してしまった。びっくりした子どもたちとダイダラボッチは泣き出してしまい、手をついてできた窪みに涙が流れ込んで浜名湖となった。

◎現在、東京都世田谷区にある地名「代田」(だいた)はダイタラボッチの足跡があった事からその名がついた。

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近畿地方のダイダラボッチ
近畿地方のダイダラボッチ伝説は世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」を中心に、奈良県、三重県に跨った伝説である。伝説の出発点を奈良の都(平城京か飛鳥京)とし、熊野山中から熊野灘沿岸を通り、志摩半島を経て桑名郡を終着点として、最後には桑名市多度町の多度大社に天目一箇神(アメノマヒトツメノミコト)として祭られている。

ダイダラボッチはこの伝説のある地域に伝わる「一目連」(ひとつめのむらじ)の俗称である。別名に「ダンダラボッチ」、「デイタラボッチ」、「一本踏鞴」などがある。

この地方に共通している言い伝えでは、「片眼であり、1本足、巨人、踏鞴を操り風を起こす」者と言われているが、多度大社の別社の中には蛇の形をした神様として祭られ、暴風の神様とされている。また、志摩半島の大王崎では、熊野から追われた、片眼、1本足の巨人でダンダラボッチ(だんだら法師)と呼ばれ、暴風の神様とされている。更に追われて逃げていった先の桑名ではデイタラボッチと呼ばれている。「ボッチ」は「法師」と書く。「だんだら」「でいたら」「だいだら」は「踏鞴」が変化した物と言われている。

また、フトダマの子孫である、斎部広成によれば天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ・後の草薙の剣)を作ったとされ、なおかつ一目連とされている。天叢雲剣は伊勢神宮にてヤマトタケル命に託されたが、ヤマトタケルの遠征に際し、大伴部氏が志摩より同行している。大伴部氏の支配していた志摩地方にもダイダラボッチの伝説、足跡(大里浜)が残っている。 これらの地域に於けるダイダラボッチ伝説は、八王子社がある地域に多く、八王子社の一柱として天目一箇神を祀っているところもある。

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タタラ製鉄
「片眼であり、1本足、巨人、踏鞴を操り風を起こす」という特徴から、たたら製鉄との関連性が指摘される。

片眼がたたら製鉄と関連付けられるのは、古来たたら製鉄においては融解した鉄の温度を見るために、文字通り目で見てその色で判断していた。その為、融解した鉄の強力な光によって網膜が傷ついてしまい、独眼となってしまうからだと言われている。

また、旱魃をおこす神も同じような特徴とされる事がある。

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関連項目
神話
キュクロプス族(英 サイクロプス)- ギリシャ神話。鍛冶神ヘパイストスに使える単眼の巨人。
ティタン神族(巨神族、英 タイタン) - ギリシャ神話。ゼウスの前の時代の神。
登場する漫画・映画
ゲゲゲの鬼太郎
もののけ姫
"http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%A9%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%81" より作成
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