◆緑地減少、少雨で打撃
東村山市で31日に開催される「空堀川・川まつり」が、水不足に悩まされている。メイン会場である同市美住町の「からぼり広場」付近は、4月に一時川がほぼ干上がる事態に。例年行っている魚の放流も、「水枯れで死ぬ可能性がある」と、一時、取りやめも検討された。関係者は「今年は開催できても、来年以降は難しいかもしれない」と水量確保に頭を抱えている。
川まつりは、地域の自然に親しんでもらおうと、地元団体などが実行委員会を作り毎年実施している。今年で17回目で、カヌー体験や人形を流す「かもレース」などの行事が行われる。
実行委に参加するNPO法人「空堀川に清流を取り戻す会」理事長の友保邦弘さん(77)によると、空堀川は昭和の後半まで、家庭の雑排水も流れ込んだ水質の悪い川だった。下水道の普及に伴って水質が改善され、川まつりも始まった。しかし、水の流入は減り、水量の減少傾向が続いているという。
初期の川まつりは、上流の東村山浄水場周辺から下流の西武線久米川駅近辺までが会場。最近は上流側だけに縮小した。まつりの担い手不足などが理由だが、久米川駅周辺は現在、降雨後以外はほとんど水が流れない状態。近年、まつりでカヌー体験を実施するようになってからは、一時、川をせき止めて使用している。ほかの水を使うイベントも、せき止めた水を一気に流すなどして対応している。
ここ数年、特に水枯れが顕著で、今年は4月頃に一時、からぼり広場付近も水の流れが見られなくなり、地元関係者を驚かせたという。台風の影響による大雨などで回復したが、今も水量は少なく、流れは数百メートル下流で止まっている。
昨年には、同NPO関係者らが市議会に空堀川の水量確保を求める陳情を出して採択され、議会から都知事あてに意見書が送られた。都は現在、東大和市などの上流部で、治水対策の河川改修を行い、川底に粘土を張り付けるなど水枯れ対策も進めている。都北多摩北部建設事務所は「水量減は、下水道の普及に加え周辺緑地の減少など複合的な要因が考えられ、河川だけでは解決は難しい。この1か月の降雨量は例年の6割程度で、天候の影響を受けやすくなっている」と話す。
友保さんは、「水枯れの影響で、下流では鳥や魚の姿も見られなくなり、まつりでは『魚を放流しても死んでしまう』という意見もある。安定した水量の確保が必要」と話している。