6狭山丘陵の古狸

6狭山丘陵の古狸


タイトル:狭山丘陵の古狸
場所:東大和市水道緑地
設置日:平成6年3月31日
材質:ステンレススティール
サイズ:H2400×W500×D880センチメートル

モニュメント「狭山丘陵の古狸」の写真1
(作品紹介)
  狭山丘陵のくぼ地にあった農家が、養鶏をしていました。ところが、その農家の大切な鶏が毎晩一羽ずついなくなりはじめました。
 ある朝、井戸の調子が悪いので、農家の人が井戸をのぞいてみると、そこには、何か黒いものが浮いていました。急いで引き上げると、なんとそれはころころと太った古狸だったそうです。
 狭山丘陵にも以前は狸が沢山いましたが、最近ではめっきりその姿を見かけることはなくなってしまいました。
-東大和のよもやまばなしから-


狭山丘陵の古狸


 東大和市内の江戸街道の北側、あたりはすっかり住宅地になった水道第二緑地に独特のポーズのモニュメントがあります。

モニュメント狭山丘陵の古狸 

「ずーっと昔の人のおもちゃ」
「ワンちゃんのヨロイ」
「・・・」
 場所が場所だけに、それに、ステンレス製で光っているため子ども達にも難問です。


モニュメント・狭山丘陵の古狸のある場所
クリックで大

 下の台の標識には「狭山丘陵の古狸」とあります。

「だって、ここ丘陵じゃないよ」
 早速、異議の声が上がります。
「チョット待ってよ、チャンと話すから」
と引き取って
「今は家がイッパイだけど、まだ、この辺が野っパラの時があったんだよ。その頃にはここにもタヌキが居たんだ。
この道、ずっと行くと川(空堀川)があるだろ。あそこにタヌキの巣があったんだよ」

ところが、作品紹介を見ると

 「 狭山丘陵のくぼ地にあった農家が、養鶏をしていました。ところが、その農家の大切な鶏が毎晩一羽ずついなくなりはじめました。
 ある朝、井戸の調子が悪いので、農家の人が井戸をのぞいてみると、そこには、何か黒いものが浮いていました。急いで引き上げると、なんとそれはころころと太った古狸だったそうです。」
 と刻んであります。
 「ちゃんと、狭山丘陵って書いてあるじゃん」
と手ごわいです。モニュメントは『東大和のよもやまばなし』をもとに作られています。そこで、もとのお話を伝えます。
 「山ふところに囲まれた蔵敷のある農家で、養鶏をやっていた頃のお話です。
 大変なことがおきました。
 毎晩必ず一羽ずつ大切な鶏がいなくなってしまいました。どんなに注意してみても、翌朝見廻ってみると羽一枚残さずに行方不明になってしまいます。
 囲いをきっちりとやり直したがそれからも七羽もいなくなってしまいました。
 この辺りは水が豊富で二メートルも掘ると良い水が出て、井戸になっていました。十月もなかばの朝、モーターのスイッチを入れても動かないので不思議に思い、井戸をのぞきにいってみました。何か黒いものが見え、何と大きな狸が虫の息になっているのです。
蔵敷の古狸のすみか クリックで大
 首筋から背中にかけて毛並が白く大の字に見え、ころころ太った狸でした。
 用心深い狸も、鶏一羽が入った大きなお腹をかかえて、ついうっかり、井戸にはまったのではないかと……。それ以来鶏をぬすまれることもなくなったそうです。
 この古狸今では剥製となり、思い出話の種となって保存されています。
 昭和四十六年秋の出来事でした。
 狭山丘陵にも昔は狸がたくさんいたそうです。おじいさんから聞いた話では、夜中の十二時過ぎによばわり(夜廻り)すると狸が足もとにまつわりつくほどだったそうです。
 ホッ、ホッと十秒位の間をおいてなく狸の声も最近はついぞ聞かれなくなりました。」(p184~185 一部省略)
がもとになっています。そこで、つけ加えます。
モニュメント・よもやまばなし・タヌキが来る畑の位置関係
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 「タヌキは狭山丘陵とこの辺の原を行ったり来たりしていたらしい。それは、数少ないけど、今でも、蔵敷では続いているよ。「やすじいの農園」って看板が出ているからすぐわかる。丘陵から離れているけれど、この農家さんは、朝方、畑で、よく、タヌキを見かけるそうだよ。丘陵から直接来るのか、近くに巣を作っているのかはわからないけど、親子で畑の間を歩いているんだって。
 
 よもやまばなしの話は狭山丘陵の麓での出来事だけど、この辺にもタヌキが居たことがあるので、モニュメントは、ここに置いたんだよ。
 それに、狭山丘陵には現在もタヌキが居て、雨上がりの日などにはその足跡が見られるよ。
 昔は、ここのタヌキと狭山丘陵のタヌキは仲良くして居たんだよ」


タヌキのケモノミチ 狭山丘陵2018年3月
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と冷や汗ものです。
このモニュメント、もう少し、誰もがわかるような説明が欲しいです。

(2019.02.08.記 文責・安島喜一)
 
モニュメント
東大和のよもやまばなし・狭山丘陵の古狸往生記



 『東大和のよもやまばなし』を繰ってみました。

 「山ふところに囲まれた蔵敷のある農家で、養鶏をやっていた頃のお話です。
 大変なことがおきました。
 毎晩必ず一羽ずつ大切な鶏がいなくなってしまいました。どんなに注意してみても、翌朝見廻ってみると羽一枚残さずに行方不明になってしまいます。

 囲いをきっちりとやり直したがそれからも七羽もいなくなってしまいました。
 この辺りは水が豊富で二メートルも掘ると良い水が出て、井戸になっていました。十月もなかばの朝、モーターのスイッチを入れても動かないので不思議に思い、井戸をのぞきにいってみました。何か黒いものが見え、何と大きな狸が虫の息になっているのです。

 首筋から背中にかけて毛並が白く大の字に見え、ころころ太った狸でした。
 用心深い狸も、鶏一羽が入った大きなお腹をかかえて、ついうっかり、井戸にはまったのではないかと……。それ以来鶏をぬすまれることもなくなったそうです。

 この古狸今では剥製となり、思い出話の種となって保存されています。
 昭和四十六年秋の出来事でした。

 狭山丘陵にも昔は狸がたくさんいたそうです。おじいさんから聞いた話では、夜中の十二時過ぎによばわり(夜廻り)すると狸が足もとにまつわりつくほどだったそうです。
 ホッ、ホッと十秒位の間をおいてなく狸の声も最近はついぞ聞かれなくなりました。」(p184~185 一部省略)



 秋口に、このタヌキの故地を訪ねてみます。(2016.09.09.記)