9子どもみこし

9子どもみこし

9. 子供みこし

タイトル:子供みこし
場所:東大和市蔵敷公民館
設置日:平成4年10月29日
材質:白御影石
サイズ:H1650×W1000×D1000センチメートル

(作品紹介)
 昔、蔵敷に子供だけのお祭りがありました。毎年養蚕が終わり、さつまいもを取り入れるまでの間に行なわれました。
祭りには、小学五、六年生の男の子が中心になって子供みこしをかついだそうです。
 当日、みこしは、神主さんのおはらいを受け、二十人位でかつぎます。タスキに大きい子は大きな鈴を、小さい子は小さい鈴を五個づつつけて、シャン、シャン、シャンッと響かせました。家々を一軒一軒歩き、おひねり(祝い金)を集めたそうです。

【子供みこしのこと】

子供の頃のまつりはいつまでも心に残ります。蔵敷に子供だけの祭りがあり、みこしをかつぎました。熊野神社の氏子総代が「祭りをやんべえ」と子供達に声をかけます。
子供中は小学三年生からの男の子で、五・六年生が中心になって、一切を取り仕切ります。
毎年秋の蚕が終り、さつまいもの取入れるまでの十月八日、九日が祭りの日でした。 祭りの一ヶ月前になると、子供達は太子堂に集って準備にかかります。
青梅街道の北側に三十本程並ぶ灯ろうは、年毎にテーマを決めて、のらくろなどのマンガや物語を芋窪ちょうちんの提灯屋にかいてもらったり自分達でかいたりして張替えます。みこしの先払いになる万灯(まんどう)を作ります。男万灯と女万灯があり、男万灯には銀紙を女万灯には金紙を巻き飾りものをつけます。
祭りの費用は村中一軒一軒もらって歩くおひねりでやることになっているので、全部ツケにしてもらって準備をします。どこの家はいくらとキチンと予算を立てました。当時蔵敷は七十軒位でした。おひねりの中身は十銭から二十銭位でした。

祭りの日はみこし小屋を神社の石段の下に作り神主さんのお祓いを受けます。
みこしは二十人位でかつぎました。白い半袖シャツに半パンツ。タスキに大きい子は大きな鈴を、小さい子は小さい鈴を五ヶづつつけて、シャン、シャンシャンッと村中に響かせました。夜宮のひるは村中を練り歩き、おひねりをもらいます。会計係の子はもらったおひねりに目を光らせ素早くあらためて、予算より少ないと庭先でいつまでも、いつまでも練ってねばります。家の人が気付かないと最後は大戸にぶつつけます。また日頃意地悪をしたり、白を黒というようないやな奴は、子供同志であれをやろうと相談しておき、ころあいをみて天水桶に突込んで、日頃のうっぷんを晴らします。みんなでやれば恐(こわ)くないといったところでしょうか。

灯ろうの番人がいて、芋窪や奈良橋から灯ろうやみこしをこわしにくる者を追い払ったりケンカの仲裁をするのに一メートル位の竹の棒を先の方をささらに切って腰にぶら下げ、ザーッ、ザーッと引きつって歩いていました。
青梅街道の灯ろうにランプの灯が入り子供の声が一段と高くなって祭りは盛り上ります。
(『東大和のよもやまばなし』p137~138)