種痘
指田日記
文久元年(1861)3月10日 保十郎、八王子に行きて、種痘の針を求む 下p93
3月12日 保十郎、羽村に行く、種痘の事なり 下p93
文久二年(1862)閏八月十七日 下p109
十七日雨
漸々(ようよう)麻疹(はしか)残る者なし、おくれたる者は一村一両
人に過ぎず、麻疹、初め発熱強くして咳嗽(がいそう)咳噺し、
又は嘔吐し、又は吐血し、四、五日の内発るあ
り、或いは八日、九日にて発し、或いは十四、
五日に至り発するあり、痢病の如く血を下すあ
り、或いはただ利(クダル)あり、然れども皆治す、後、
痢病の如く数日下る者死す、咳嗽(がいそう)廿日を過ぎて
次第に止む、廿日、卅日は軽しとし、ニケ月、
三ケ月に治(じ)するあり、再変の者は多く死す。
時疫(コロリ)と云う病あり、一、二日の内に死するあり、
或いは四、五日にして死するあり、軽きは按摩(あんま)
して治(じ)するあり、手足の爪ぎわに針をさし出血
し多く治す、或いは委中(いちゅう)・尺沢(しゃくたく)に鍼(はり)して治する
あり、重きに至りては鍼治(しんじ)を施すと雖(いえど)も血出ず、
則ち死証とす、多く初め吐瀉(としゃ)甚だしく手足冷え
て筋縮す、人皆狐狸(こり)の所為(しわざ)と思えり、鶏・犬・
猫に此の病あれば狐狸の所為にあらず
注
咳嗽 気道粘膜の刺激で反射的に急激に起こる息づかい
委中(いちゅう)・尺沢(しゃくたく)
鍼のつぼで委中は膝の後ろにある横じわの中央。尺沢は手のひらを上にしてひじを軽く曲げると内側
関節部分真ん中の筋の親指側側面のくぼみ
明治3年3月12日 種痘を初めて、萩ノ尾の按摩にゆずる 下p223
3月18日、萩ノ尾の按摩を、拝島村に種痘のために行かしむ 下p223