組合村合併議案御撤回願

組合村合併議案御撤回願
 北多摩郡高木村外五ヶ村組合
  高木村
  清水村
  狭山村
  蔵敷村
  奈良橋村
  芋窪村
 右は町村制実施の際合村協議行届かず町村制百十六条一項により組合を設け事務共同庶弁し毫も差支えなきを本年三月中組合村長は合併の協議相整たりと虚偽の稟申をなし町村制第四条一項の処分を求めたるに郡長はこれが調査を為さず軽率の処置に出て候より府知事は諮問按を発せられ候に付き組合村に紛争を醸成し各村々より郡長に知事に屡々その事情を陳述し数回の上申をも致し最早半年にも渉り倍地方行政の錯乱を来たし不穏の状況に立至り候間公益の為め是迄通り組合制に御据置き下されたく依って該案を府参事会へ提出相なされなきようつかまりたく尤も本郡にも中藤村他三ヶ村大神村外八ヶ村西多摩郡箱根ヶ崎村外三ヶ村福生村外一ヶ村菅生村外四ヶ村明治村外一ヶ村等の組合ありて地方及び国家の政務上差支えなきは明瞭に付き願意御聴人民安堵すべく候よう御処置これありたく各村総代連署この段願い上げ候なり
明治三十四年八月三十一日
高木村人民総代
 尾﨑房七
 尾﨑宇兵衛
清水村総代
 池谷藤右衛門
 原 七五郎
狭山村総代
 杉本想太郎
 杉本忠左衛門
蔵敷村
 内野杢左衛門
 鈴木重蔵
芋窪村
 川鍋亀吉
東京府参事官
東京府知事男爵千家尊福殿


組合村合併議案御撤回願
 北多摩郡高木村外五ヶ村組合
  高木村
  清水村
  狭山村
  蔵敷村
  奈良橋村
  芋窪村
 
趣旨の要約
・明治21年(1888)、市制・町村制施行の際、協議が行届かず合併しないで、
・明治22年(1889)、高木村他五ヶ村組合を設け、事務を共同処理して来ました。
・何ら差し支えないにもかかわらず、
・明治三十四年三月中に、組合村長は合併の協議が相整ったと虚偽の稟申(申し上げ)をし
・町村制第四条一項の処分(合併)を求めました。
・郡長はこれを調査もしないで、軽率の処置をして
・府知事は諮問案を発せられました。
・このため、組合村に紛争を醸成し、各村々より郡長、知事にしばしばその事情を陳述し、
・数回の上申をして、早くも半年になり
・多くの地方行政の錯乱を来たし不穏の状況に立ち至ったので
・公益の為め、これまで通り組合制に据置き下され
・組合村村長が提出した合併案を府参事会へ提出されないようにお願い致します。
・北多摩郡には、中藤村他三ヶ村、大神村外八ヶ村、西多摩郡箱根ヶ崎村外三ヶ村、福生村外一ヶ村、菅生村外四ヶ村、明治村外一ヶ村等の組合があって地方及び国家の政務上差し支えないことは明瞭であります
・願意を御聴きとり頂き、人民が安堵するよう
・御処置下されたく、各村総代が連署してお願い申し上げます。
   明治三十四年八月三十一日
東京府参事官
東京府知事男爵千家尊福殿